Windows リモート操作ソフト(VNC と pcAnyware Version 9.2)

作成日:2006.05.20

動機

マシンを 2 台以上持っている場合、片方のマシンからもう片方のマシンを操作できればしたいことが良くある。

マシンが UNIX なら、telnet のようなリモートコンソールとネットワーク透過性を持った X Window System のおかげで難なくリモート操作が可能だ。 しかし、Windows 同士の場合はそうも行かない。 Windows にも telnetd 等は存在するがコンソールから実行できる機能が限られているためあまり役に立たない。

そこで、サーバー(操作される)側の画面全体をクライアント(操作する)側のマシンに送り込み操作する Windows リモート操作ソフトの出番となる。

VNC と SYMANTEC pcAnyware

代表的なリモート操作ソフトとして AT&T Lab. で開発された VNC 3.3.3r7 と、SYMANTEC の pcAnyware version 9.2 を試用してみた。

SYMANTEC pcAnyware version 9.2 は、SYMANTEC のホームページから30日間試用が可能な体験版がダウンロードできる。

VNC は GPL に従って配布されるフリーソフトで、Windows → Windows のリモート操作だけでなく UNIX 系 OS (Linux 等) → Windows のリモート操作や Windows → UNIX 系 OS のリモート操作も可能となっている。

評価には以下の環境を用いる。

 スペックOS画面の大きさ
クライアント側 Celeron 300@450MHz dual + ATI Rage Fury + 256MB Windows NT 4.0 + SP5 1152×864
サーバー AMD Duron 800MHz + Creative RivaTNT + 256MB Windows2000 SP1 1024×768

双方とも、100BASE-TX の Ethernet によって繋がっている。

画面の描画

両ソフトを比べた場合、画面の描画速度が操作感覚に大きく影響している。

ウィンドウの移動
サーバー側の Windows の設定でウィンドウ移動中は 外側の枠だけを表示するように しておく。

クライアント側からリモート画面中のウィンドウをドラッグ&ドロップして ぐりぐり動かすと、 pcAnyware ではウィンドウの枠がマウスカーソルに追従して移動する。 画面の更新頻度は低いため、ウィンドウの枠は飛び飛びに表示されるが レスポンスは問題ない。

一方、 VNC の場合はウィンドウ移動中には枠が表示されない。 マウスを離した位置で再描画されるように見える。 ウィンドウをドラッグして動かしている間は 描画が間に合わないようである。 負荷も高くなっている。
マウスカーソル
VNC は描画の遅さをカバーするために、 サーバー側のマウスカーソルのある 位置に点を表示している。
描画速度が追いつかなくなると マウスの動きに合わせて点が移動して、それにマウスカーソル が追従する格好になる。

pcAnyware では、 マウスカーソルはマウスの指すポイントと 離れずに付いてくる。
コモン・コントロール
VNC ではテキストエディッタやタブコントロールの描画に 問題があるようである。
ダイアログ内のテキストエディッタにフォーカスを合わせて、 キーボードから文字を打ち込んでもリモート画面に 表示されないという症状が現れる。
画面の再描画を促すか、 テキストエディッタの周辺をマウスでなぞる と入力した文字が見えるようになる。

タブコントロールなどではタブを切り替えても、 ダイアログの表示内容が 前のタブに隠されて切り替わらないことがある。

圧倒的に pcAnyware の方がストレスなく使用することができる。

機能

NT サービス化
両ソフトともに、 サーバー側がNT または 2000 の場合には、 サーバー側のプログラムを NT サービスとして登録することができる。 この場合、 クライアント側からログオフ・ログオン動作が可能である。
CTRL + ALT + DEL
ログオフと違い、 ログオンを行うには、 CTRL + ALT + DEL を押して ログオンダイアログを表示させる必要がある。
CTRL + ALT + DEL のような 特殊なキーコンビネーションはシステムでフック されているので、 リモート画面上でキー操作しただけではサーバー側に 伝えることができない。

そのため、 両ソフト共に CTRL + ALT + DEL を サーバー側で打ったのと 同様の効果を与えるメニューやボタンが用意されている。

VNC はメニューの「send ctrl + alt + del」を選択する。 pcAnyware は「ホストに CTRL + ALT + DEL を送信」ボタンを押す。
wheel mouse の 扱い
クライアント側となる WindowsNT4.0(SP5) には、 Microsoft の IntelliMouse を接続している。 ただし、 NT4.0 では素の状態で wheel mouse が使えない様で、 AtlIME や IntelliPoint の 3.1 をインストールして wheel 機能を on にしなくてはならない。

このクライアント環境では、 VNC とも pcAnyware 共に wheel mouse の wheel 操作をサーバー側に 伝えることは出来きないようで、 リモート画面上で wheel をまわしたりクリックしたりしても 変化はない。

クライアントが、 Windows95/98/Me/2000 の場合には wheel 機能を 用いることが可能かも知れないが、 試していない。
pcAnyware のみにある機能
pcAnyware は VNC にある機能は だいたい存在する。 加えて、 pcAnyware はその他に、
  • クリップボードの転送(ただし、テキストとビットマップのみ)
  • 通信経路の暗号化
  • シリアル・パラレル接続でのリモート管理
  • クライアントとサーバーの間でのファイル転送
の機能を持っている。 クリップボード転送はかなり便利で、 クライアント側の Web ブラウザで URL をコピーして、 サーバー側の Web ブラウザに渡すようなことが出来る。

Written by NAKAMURA Minoru, Email: nminoru atmark nminoru dot jp, Twitter:@nminoru_jp